ピロリ菌について

胃がんの原因No.1はピロリ菌です。


感染していると胃がんになるかもしれない菌として知られるピロリ菌。どのような菌なのでしょう。

ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」、私たちの胃に住む菌です。

私たちの胃は酸性の胃液を分泌しており、菌が住みにくい環境が出来ています。ピロリ菌はそんな胃に住める力を獲得した、類い希な菌なのです。

私たちがピロリ菌に感染するかも知れないのは、幼少期。ピロリ菌は子供のころの、免疫が弱い体にだけ感染します。

感染したときにはなにも症状がありません

しかし、感染している人は気付かないうちに、将来多くの病気になる危険性が上がっているのです。

近年衛生環境の改善で感染者は減っていますが、まだまだゼロではありません。

ピロリ菌にかかっていたら


もし、あなたがピロリ菌に感染していた場合、放置すると将来胃がん、胃潰瘍、MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病といった病気になる危険性が高くなります。

こうしたリスクを減らすのがピロリ菌の除菌です。

除菌に必要なことは薬を飲むことだけ。医師から説明を受け、薬を飲み、ピロリ菌がいなくなっているかを確認したら終わりです。

ピロリ菌が胃がんの原因だと発見したオーストラリアの医師、マーシャルは2005年にノーベル賞を受賞しましたし、胃がん防止を目的としてピロリ菌感染胃炎の除菌治療は保険診療として認められていますから、これらの事実は科学的、そして社会的にも広く受け入れられていると言えるでしょう。

ピロリ菌に感染していても、胃がんなどになるまでは症状がありません。

除菌をするためにも、まずは感染していることに気付くことが大切です。

ピロリ菌の検査と除菌ははやくやった方がよいですよ!


今回、もう一歩踏み込んでご紹介したいのは

「胃がピロリ菌により萎縮性胃炎や腸上皮化生になる前に除菌することが望ましい」という研究結果[1]です。

研究の概要をご説明します。

この研究は1998年から2012年にかけ、573名の患者さんを対象に東京大学のチームが行った研究で、ピロリ菌を除菌したにもかかわらず胃がんになってしまうケースについて調査したものです。

ピロリ菌の感染者は除菌をすることで胃がんになる確率が下がるのですが、完全にゼロになるとはいえません。

この論文によると、除菌を行ったあとの5年間で3.2%の方に胃がんができたといいます。

どういうときに、除菌をしたにもかかわらず胃がんになってしまうのでしょう。

この論文によると、除菌をされた際に萎縮性胃炎がなかった方では胃がんになる確率が0.7%だったものの、萎縮性胃炎の程度が強かった方では1.9%, 10%と胃がんのリスクが上がっていました。

また、除菌をされた際に腸上皮化生がなかった方では胃がんになる確率が1.5%だったものの、腸上皮化生の程度が強かった方では5.3%, 9.8%とリスクが上がっていました。

[1] Shichijo S, Hirata Y, Niikura R, et al. Histologic intestinal metaplasia and endoscopic atrophy are predictors of gastric cancer development after Helicobacter pylori eradication. Gastrointestinal endoscopy. 2016; 84: 618-24.

どういうときに、この萎縮性胃炎や腸上皮化成が進行してしまうのでしょう。

ピロリ菌の感染は乳幼児期に主に成立しています。そして、ピロリ菌の感染が長期となると萎縮性胃炎・腸上皮化生が進行していきます。

以上から

「胃がピロリ菌により萎縮性胃炎や腸上皮化生になる前に除菌することが望ましい」

と考えられます。

つまり、ピロリ菌に感染したまま長く放っておかないのが胃がん予防のポイントです。

まだピロリ菌の検査を受けていない方は、早めにピロリ菌の検査を受けて、陽性であれば除菌されることを強くお勧めします。
お申し込みはこちらからお願いします。


2018.8.1 一般社団法人ヘリコバクターピロリ未病対策協会 代表理事 須江 聡一郎